宮城野【ディレクターズカット版】

宮城野へのコメント

2008年/35mm/カラー/ヴィスタ/ドルビーSR/113分 PG-12

この愛は、本物か、偽物か。
ひとりの女の愛が、写楽を謎の存在たらしめた……

時は、寛政6(1794)年――
江戸の刑場で、薄汚れた年増女郎の処刑が行われようとしていた。
女の名は、宮城野。
罪名は、浮世絵師・東洲斎写楽殺し。
冷たい刃が女の喉にあてられた瞬間、女はその命を愛の証と捧げた男のことを想う。

写楽を手に掛けたのは、本当に宮城野なのか。

真実を知るのは、宮城野の罪を決定づけた、ただ一枚の、傑作役者絵。
その絵の名も、「宮城野」だった。

写楽の浮世絵に隠された、美しくも儚い、そして残酷な愛の物語

原作は、戦後を代表する劇作家・矢代静一(1927- 1998)の同題の二人芝居。年増女郎・宮城野と写楽の弟子・矢太郎の心の虚実が交錯するこの対話劇を元に、「写楽の謎」というミステリーの要素を強調。ここに、まったく新たな『宮城野』を作り上げた。写楽の下で修行とは名ばかりの、その実、ニセ絵を描く日々を送る矢太郎の葛藤と、ひたむきに矢太郎を愛する宮城野。その背後に浮かぶ写楽の存在……。
宮城野を演じるのは宝塚歌劇団退団後、舞台女優として第一線で活躍する毬谷友子。矢太郎には、『半沢直樹』(13)や『真田丸』(16)など映画・ドラマへの出演も続く、上方歌舞伎の花形・片岡愛之助。共演は、今やスクリーンに欠かすことのできない実力派・國村隼。独特の存在感では他の追随を許さない樹木希林。『蝉しぐれ』(05)以来、女優として成長し続ける佐津川愛美。

カンヌを酔わせ、フィレンツェを魅了した気鋭・山崎達璽 注目の最新作

1999年、初監督作品『夢二人形』が当時、日本人最年少でカンヌ映画祭にノミネートされ、衝撃のデビューを果たした山崎達璽。それから10年、満を持しての初長編作品『宮城野』がついに完成。一貫して追求し続ける「伝統文化の延長線上にある映画作り」をより熟成させ、歌舞伎や浮世絵などの古典の様式美と現代感覚が融合する独自の世界を生み出した。
2009年、フィレンツェ日本映画祭でのワールド・プレミアで市民を魅了し、圧倒的な支持を得た。

毬谷友子 片岡愛之助(六代目)  樹木希林 佐津川愛美 / 國村隼
寺田農 坂東薪車(四代目) / 義太夫 浄瑠璃 竹本綾之助(四代目)三味線 鶴澤寛也

チーフプロデューサー:戸山剛 ゼネラルプロデューサー:荻野友大
プロデューサー:John Williams エグゼクティブ:四宮隆史
原作:矢代静一 脚本:酒井雅秋 音楽:野崎良太(Jazztronik)
美術:池谷仙克 撮影:瀬川龍(J.S.C) 照明:原由巳
録音:鴇田満男 整音:長谷川有里 音響効果:小川広美
編集:金子尚樹・目見田健 助監督:藤嘉行 製作担当:大草郁夫
監督:山崎達璽

振付・所作指導:藤間貴雅 三味線指導:松永鉄駒 
浮世絵アドバイザー:新藤茂 浮世絵:歌川国政・アダチ版画研究所

芸術文化振興基金助成事業
製作・配給:「宮城野」抱え主一同

第11回小津安二郎記念・蓼科高原映画祭特別上映(2008年10月)
第1回フィレンツェ日本映画祭特別招待(2009年11月イタリア)
第9回新京極映画祭招待上映(2010年10月京都)
お蔵出し映画祭2011 審査員特別賞受賞(広島県尾道市・福山市)

Copyright(C) 「宮城野」抱え主一同

宮城野へのコメント

Uno dei film, a giudizio di chi scrive, più interessante di tutta la rassegna è stato invece Miyagino, alla cui proiezione era presente anche il regista, il 34enne Tatsuji Yamazaki. Un dramma di amore, una sorta di giallo, costruito a incastri e suggestioni, che molto deve, nella ricostruzione scenica, al teatro e al disegno, fino a mischiarne le tecniche narrative all’interno della celluloide. Suggestivo, elegante, “moderno” pur senza sfoggiare mirabolanti mezzi tecnici ( quasi sempre la macchina è fissa sui protagonisti) , il meccanismo narrativo dell’opera colpisce e prende lo spettatore fino alla fine. La storia parla della cortigiana Miyagino , accusata di aver ucciso il famoso maestro Sharaku, realmente esistito e realmente sparito nel nulla. L’amore di lei per l’apprendista del pittore, il giovane Yataro, si tramuterà in dramma quando nel giovane prevarrà la codardia e l’egoismo. L’interprete dell’apprendista, Ainosuke Kataoke IV, è per inciso un rinomato attore di teatro Kabuki, il che non fa che rafforzare il legame del film con le arti che storicamente lo hanno preceduto.
Nove da Firenze

映画祭で紹介された作品中、『宮城野』は大変興味深い印象が残る作品であり、山崎達璽監督も映画祭に出席していた。
ミステリータッチの恋愛ドラマで、暗示性に富み、観る者にイメージを沸き起こさせるこの作品の背景には、伝統演劇から絵画など、多くの芸術が融合されている。優雅、華麗、魅惑的で、技術にこだわりすぎず ―基本的に登場人物に焦点が当てられている― 現代的な感性で作られたこの作品に観客はどんどんのめり込んでいき、魅了されてしまうのである。本作では忽然と姿を消した実在の人物、東洲斎写楽の殺人罪に問われた宮城野という名の娼婦のストーリーが展開されている。宮城野が心から愛しているのは、写楽の弟子である矢太郎という若い男だが、己の欲に穢れた矢太郎を愛し続けることこそが宮城野を悲劇へ導く、不幸の源となる。
矢太郎役を演じているのは片岡愛之助という有名な歌舞伎俳優だが、彼の出演こそが本作と日本の伝統文化との関係性をさらに強調しているといえるだろう。

電子新聞「イル・ノーヴェ・ダ・フィレンツェ」