2つのヴァージョンについて
『宮城野』は、戦後を代表する劇作家・矢代静一の戯曲『宮城野』を原作にしています。女郎・宮城野と写楽の弟子・矢太郎の心の虚実の交錯を描いた対話劇です。
【スタンダード版】(デジタルハイビジョン上映・77分)は、矢代静一が宮城野を「マグダラのマリア」を原像として描いた、戯曲本来のテーマ性・構成に軸を据えて仕上げました。 詳細
【ディレクターズカット版】(35mmフィルム上映・113分)は、原作にさらに、「写楽の謎」というミステリー要素を強調しながら、矢太郎という男の生きざまにも焦点を当て、宮城野と矢太郎を主人公に据えて作り上げました。
1997年/16mm/パートカラー/スタンダード/15分
ある女流作家のもとに突如送られてきた男からの手紙。男は女体の触感を求めるあまり、ついには椅子の中にその身を埋めてしまったと告白する……。
オリジナル版:1998年/16mm/モノクロ/スタンダード/36分
DVD・ビデオ版:2004年/パートカラー/スタンダード/38分
大正の終わり―かつて画家・詩人として一世を風靡した竹久夢二は、人知れず人形作りに執心していた。覇気を失った夢二が想いを馳せるのは、大正ロマン華やかなりし頃のこと……。
幾多の女性と浮き名を流す夢二とおんなたちの愛憎劇の中に描かれる人間の儚さ、そして禁断のエロティシズム。果たして夢二の人形とは何を意味するのか? その謎に、虚実を織り交ぜた独自の解釈で迫る―。
第52回カンヌ国際映画祭正式出品作品
オリジナル版:2000年/16mm/カラー/スタンダード/62分
DVD・ビデオ版:2004年/カラー/スタンダード/60分
抒情派画家・竹久夢二、責め絵師・伊藤晴雨、洋画界の大御所・藤島武二―スランプに陥った3人の画家。 まったくタイプを異にした彼らそれぞれの前に、ある日、謎の女性モデルが現れる。 「お互いのモデルが同一人物ではないか?」ふとそんな疑念を抱く夢二と晴雨。
ある時は麗しい淑女、またある時は妖艶な遊女、そしてまたある時は純情な少女……その真相を確かめようと、3人の画家は藤島邸に顔を揃えた―。
丸谷ちひろ監督作品
2000年/16mm/カラー/スタンダード/16分
人生に疲れ、家に別れを告げる男。この家の精霊は、最後に、男を想い出の中へと誘ってゆく…。誰の心にも宿るノスタルジーを、女性の視点から綴った瑞々しい一篇。
製作:山崎達璽 撮影:中島美緒 音楽 : 野崎良太(Jazztronik)
監督・脚本:丸谷ちひろ
出演:渋谷育男・田中大河・田村一行(大駱駝艦)
第23回ヨコハマ映画祭オープニング招待上映(2002年2月)
中村隆太郎監督作品
2002年/16mm/カラー/スタンダード/53分
今にもつぶれそうなストリップ劇場を救うため、伝説の踊り子を捜す旅に出るハメになった主人公・尾形。 最初はストリップを馬鹿にしていた尾形であったが、ストリップ・ファンたちの情熱に触れることで自分の不甲斐なさを振り返り、 やがては自らのプライドを掛けた、劇場を救うための勝負に挑む。
「人それぞれの幸せな生き方、楽な生き方」をテーマに、ストリップ・ファンにスポットを当てた異色エンターテイメント作品。
製作:河野通雄・山崎達璽
脚本:酒井雅明・中村隆太郎
撮影・照明:斎藤徳暁 録音:山本タカアキ
監督:中村隆太郎
出演:川野弘毅・千原真琴・山崎猛・大倉由希恵・足立学・林勝巳・田中康貴
第13回映画祭TAMA CINEMA FORUM・第4回TAMA NEW WAVE特別賞・ベストキャラクター賞受賞(山崎猛)(2003年11月多摩市)
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2004 68films賞受賞(2004年2月夕張市)
1999年5月20日、カンヌの大スクリーンいっぱいに
若いアーチストの夢が具象化した。
河原畑寧(映画評論家)
映像的完成度の高さに引き込まれた。
ドラマに対してのあの的確なキャメラ・ポジションは天性のものだ。
阪本善尚(撮影監督)
切り絵化された過去への憧れが、明日に投影され、
だまし絵のプリズムとなって、立ち上がる見事さ。
若い才能が貯えた、スタティックな官能。
堂本正樹(演劇評論家)
ゴッホ、モジリアニなど
今まで何人もの画家の映画を見た。
才能のままに生きる画家の映画はあったが、
画家に毒を与える女性を描いたのは
『夢二人形』が初めてだ。
才能を持つことは、時として悪魔に見入られること。
運命のままに生きた画家の姿を23歳で描ききるなんて
映画監督・山崎達璽は末恐ろしい。
小張アキコ(映画評論家/画家・中島實夫人)
大正時代を舞台に、竹久夢二と女たちの歪んだ交情を、
しっとりと、かつ斬新に、日本の伝統美に目を配りながら
完璧な構成で描いたこの作品は何度見ても素晴らしい。
朝日新聞(1999年12月8日中部版夕刊)
あの若さでこれほどの演出力を持った映画作家に出会うチャンスに恵まれ、
彼の作品をノミネートできたことは私の自信につながった。
この作品のエレガントかつ神秘的な美しさを観た後では
彼の長編を期待せずにはいられないだろう。
ローラン・ジャコブ
(カンヌ国際映画祭シネフォンダシオン部門選考委員長)
初期のベルトルッチのように生意気だ。
でもそれは絶対に才能です。(25歳・男性・アルバイト)
清順を超えましたね。(34歳・男性)
とても豊かな気持ちになれました。
日本人で良かったなと思います。(31歳・女性・主婦)
幸せでした。(19歳・女性・大学生)
とげとげしさのないやわらかな毒のような感じがよかった。(18歳・女性・学生)
大正時代にトリップしました。(20歳・女性・学生)
非常にゆったりとした時間を楽しませていただきました。(39歳・男性・自営業)
新たなジャンルにふれる事ができてうれしく思います。(26歳・女性)
音楽、最高でした!!パリ、感じました。(20歳・女性)
とても懐かしい気分になった映画です。
それでいて新鮮な感じがしました。(53歳・男性・会社員)
大正という時の移ろい、妖しくも凛とした爽やかさ、
大胆にして繊細な演出、神秘的官能美で、夢二に添った三人の女性に迫る映像。
山崎達璽に私は毒を盛られた。
片岡佐吉(人形屋佐吉)